ヨーロッパ映画史上最大級の製作費で描く、歴史スペクタクル!
ストーリー:4世紀、ローマ帝国末期のエジプト、アレクサンドリア。宗教をめぐる市民の対立から街が荒廃する中、類まれなる美貌と明晰な頭脳を持った女性天文学者ヒュパティア(レイチェル・ワイズ)は、分け隔てなく弟子たちを受け入れ、講義を行なっていた。彼女は訴える。「世の中で何が起きようと、私たちは兄弟です。」生徒でもあり、後にアレクサンドリアの長官となるオレステス(オスカー・アイザック)、そして奴隷ダオス(マックス・ミンゲラ)は密かに彼女に想いを寄せていた。やがて、科学を否定するキリスト教徒たちと、それを拒絶する学者たちの間で、激しい対立が勃発。戦いの最中、キリスト教指導者は知る。この都市の有力者たちに多大な影響を与えているのは、ヒュパティアだということに。そして攻撃の矛先は、彼女に向けられたのだった・・・。
出演:レイチェル・ワイズ、マックス・ミンゲラ、オスカー・アイザック、マイケル・ロンズデール、サミ・サミール、アシュラフ・バルフム、ルパート・エヴァンス、ホマユン・エルシャディ
★★★★★ 面白かった。
『サイレンス』などを見て感じていたが欧米人のキリスト教観念は常に善と迫害を受ける側としての立ち位置ばかり、しかしキリスト教の黒歴史に対してここまで切り込んだ映画もなかなか珍しい。純粋にまで天文学を突き詰めたヒュパティアの人生を美しく豪華に描きあげ、このころからヨーロッパの暗黒時代が訪れるがそれを暗示させるのに余りある上手な描き方がされている。しかも製作がキリスト教、特にカトリックに深いつながりがあるスペインというからなかなか興味深い。もしかしたら南部の結構な領域をイスラム教徒に支配されたスペインにはカトリックといえど開かれたイスラム教の考え方が入り込んでいるのかもしれない。逆にアメリカはプロテスタント内でも厳格なピューリタンの影響や厳しい気候のカトリックであるアイルランドなどの移民が主力だったりするのでもしかしたらハリウッドの描き方はスペインなどよりもキリスト教崇拝思考が高いのかもしれない。お隣フランスの映画がなぜかいつも毒々しい内容が多いのにこの映画はとてもハリウッド調なのも日本人としては見やすい。
★★★★☆ 宗教のマイナス面を考えさせる
この映画の主人公、ピュパティアも当時の社会も、今まで知らなかったことばかりで勉強になった。女性は男性の上に立ってはならない、とかいう差別的な文言が聖書に書かれていると初めて知ったが、フェミニズムの盛んな欧米のキリスト教徒はこの文言をどう解釈するのだろう。ほぼ無宗教で科学者であるピュパティアのほうが、よほど宗教家より高貴かつ寛容で理性的に見えた。キリスト教徒もユダヤ教徒も野蛮人のごとく描かれている。(実際、異教徒殺しをしている)信仰の押し付けと、自身の信仰に従わないものを悪として滅ぼしていく描写もあるが宗教家がよくやることで日本でも目にする。日本国憲法に「信仰の自由」が書かれているが、いざとなればこの法律に頼れる。法治国家に生まれて良かったと思う。聖書が法になったとすると、矛盾だらけのでたらめな社会が形成されたことだろう。(もちろん今の日本社会にも矛盾は多くあるが)
★★★☆☆ 義人はひとりもいない
この映画を見て私が思ったのは、人間の愚かさを教えてくれているもので、宗教の愚かさではないということ。映画を見て、宗教は怖い、悪で済ませると本質を見失う。信仰者であろうが、なかろうが高慢になると人間は愚かになる。謙虚に冷静でいたい、、けど難しい。人ごとじゃない。誰にだって起こりうる。ラブストーリーとしてはラストは切なかった。
作品の詳細
作品名:アレクサンドリア |
原作名:Ágora |
監督:アレハンドロ・アメナーバル |
脚本:アレハンドロ・アメナーバル |
公開:スペイン 2009年10月9日、日本 2011年3月5日 |
上映時間:127分 |
制作国:スペイン |
製作費:7000万ドル |
興行収入:3900万ドル |
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