ドラマ

乙女の祈り

妄想を共有するほど心を通じ合わせた多感な14歳の少女ふたりが、殺人の凶行に駆り立てられていく心理を丹念に追った異色ドラマ

ストーリー:空想壁のある女子高生ポーリン(メラニー・リンスキー)は、イギリスからの転校生、ジュリエット(ケイト・ウィンスレット)と熱烈な友情を育てた。低所得の家庭に育ったポーリンと大学の学長の娘ジュリエットだが、感性は驚くほど似通っていて、作家を夢見る二人で『ボロヴィニア王国』という物語を生み出し、フィクションの世界へのめり込んでいった。娘たちの親密な関係に異常性を感じ取ったジュリエットの父は、ポーリンの母にカウンセリングを受けさせることを提案。「異性愛」の診断を下されたポーリンは、ジュリエットとの交際を禁じた母に猛烈な憎悪を燃やす。母さえいなければ・・・。思いつめたポーリンは、愛するジュリエットが用意したレンガを握りしめ、母の背後に迫った。

出演:メラニー・リンスキー、ケイト・ウィンスレット、ダイアナ・ケント、クライヴ・メリソン、サラ・パース、サイモン・オコナー

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ 完璧な作品

10代の頃に初めて見て、たちまちケイト・ウインスレットのファンになりました。難しい役どころなのに、見事に演じきって、とても生き生きしているように見えます。以来、ずっと彼女のファンです。もう一人の少女も素晴らしく、完璧です。衝撃的なストーリーですが、主演二人の素晴らしさの方が鮮烈な作品です。ストーリーの極端さや残酷な描写に眉をひそめる方が多くいらっしゃるようですが、そんなことはこの作品の表面的なものに過ぎないと思います。ここに描かれた少女特有の潔癖さや美意識は、単なる子供の妄想とは切り捨てられない、稀有な輝きを持った物だと思います。あえて大げさな言い方をすれば、沢山の少女達が、(勿論、全ての少女達ということではありませんが)作中の少女たちにどこからしら自分と似た部分を発見し、慰め、彼女達の運命に涙する・・・そんな映画だと思います。他の、少女を題材にした映画と比較しても抜きん出ていて、結局比較にすらならない。少女特有の世界を、完璧な一つの形として封じ込めた傑作。万人受けしないことは確かでしょうが、一生心にしまっておきたい作品です。

★★★★☆ 未熟な者のまっすぐな怖さ

ピーター・ジャクソンの作品と知らず、偶然に見ました。衝撃的な結末が、事実を元にしていると聞いて、そのショックさは倍増。まいりました。最終的な事はともかく。この年代の女子の、仲良しさというのは、端から見ると異様に見えます。手をつなぎ、痛みを共有し、秘密を作り、他を寄せ付けない。そして、その二人が繰り広げる想像の世界の、美しさとグロテスクさ。それをまた、美しく恐ろしく表現したものです。衝撃の大きな作品ですが、主人公二人の少女が、この方法以外考えつけなかった事の背景に、彼女達の声を聞いてこなかった大人の責任を感じます。正面から、未熟な者のまっすぐさを良く見て、声を聞かなければと思うのです。でなければ秘密裏に、大人の知らないところで思いは深く激しくなってしまうように感じました。

★★★☆☆ 出来はいいが・・・

主人公の少女の心理描写に、独白のようなナレーションを使われるとどうしても感情移入できなくなる。一番大事なこの映画のキモの部分を、「言葉」ではなく「映像」で表現して欲しかった。こういう、ストーリーが始めから分かってる話ならドラマの部分を深く描く必要があると思うのだが、人間心理に「肉薄する」感覚がなく、ファンタジーを使って表面的にさらっと描いた印象。まあ、それはそれで一つの描き方ではあるのだが・・・。監督は、子供でも観れるような、どぎつい映画にはしたくなかったのだと思うがもっと深く、厚みのある作品になれたはずの題材なだけに、おしい。映画自体の出来は、なかなかいいと思うけど。

作品の詳細

作品名:乙女の祈り
原作名:Heavenly Creatures
監督:ピーター・ジャクソン
脚本:ピーター・ジャクソン
公開:ニュージーランド 1994年10月14日、日本 1995年9月9日
上映時間:108分
制作国:ニュージーランド、アメリカ
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