アメリカで初めて死刑になった実在の女性、メアリー・サラット。その罪は、リンカーン大統領暗殺の共犯。彼女には、命と引き換えに守り抜いた<秘密>があった。
ストーリー:南北戦争終結から間もない1865年のワシントンで、アメリカ合衆国大統領リンカーンが暗殺される。すぐさま犯行グループは拘束され、その一人として下宿屋を営む南部出身のメアリー・サラット(ロビン・ライト)も捕らえられる。罪状は犯行グループへのアジト提供であったが、彼女は一貫して無実を主張。メアリーの担当弁護士を引き受けることになったフレデリック(ジェームズ・マカヴォイ)は、北軍の英雄であったこともあって彼女と向き合うことに抵抗を覚えるが、実際に無実で何かの事情から自身を捧げようとしているのではと考える・・・。
出演:ジェームズ・マカヴォイ、ロビン・ライト、ジャスティン・ロング、エヴァン・レイチェル・ウッド、ジョニー・シモンズ、トビー・ケベル、トム・ウィルキンソン、ノーマン・リーダス、アレクシス・ブレデル、ケヴィン・クライン、ダニー・ヒューストン
★★★★★ 戦時には法は沈黙する、という恐ろしい論理
主人公の弁護士は、最初から義憤に駆られて彼女の弁護を引き受けたのではない。否応なしに正義派の上司から押し付けられた形である。それが、徐々に「法を守る人」としての使命感に目覚め、南部の容疑者のために自らの北軍としての栄誉や恋人まで失いながらも、奔走することになる。彼のこの、燃えるような正義感は称賛に値するが、結局は彼女を救うことはできない。「ここで憎しみの連鎖を完全に終わらせ封鎖する」という国家レベルの論理のため、個人は犠牲にされるのである。検察官は語る。「戦時には法は沈黙するのだ」と。十分にありうる現実だと思うと、震撼した。個人が抗う余地はない。いつ私たちの身に起きるかわからない事態である。息子を助けようと沈黙すれば、自分が絞首刑になる。母を助けようと出頭すれば、自分が絞首刑になる。息子は結局、出頭せず母を見殺しにしたことになる。その間で苦しむ姉も酷い。何と大きな決断を迫られる、悲惨な運命であったことか。しかし、頑として息子を守ろうと沈黙した母とは、何と偉大であることか。毅然とした態度が美しかった。しかし最後のテロップで、この弁護士は職を辞した後、ワシントンポスト紙の初代社会部長になったとの文言を読んだとき、彼の奮闘は社会のために活きたのだ、彼は別の形での取り組みを始めたのだ、と知り、心から嬉しかった。そして、この後、民間人が軍事裁判にかけられことが禁止され、そのおかげで、息子は一旦は逮捕され裁判にかけられはするものの、最終的には無罪放免となる。母の死を賭けた願い通り、息子は、生き延びたのだ。英語のタイトルは”The conspirator”(共犯者)である。誰が何の共犯なのか、答えは一つではない。日本語のタイトル「声をかくす人」も印象的なタイトルである。このタイトルに惹かれて見たのだから。沈黙しているのは誰なのか、それも答えは一つではない。よくある英語のカタカナ表示にせず、最上の邦題とは思わないけれど、少しでも詩的なタイトルにしようと試みた配給者の努力に感謝します。
★★★★☆ リンカーン亡き後のアクションに焦点をあてた話・・・
こちらの作品は、リンカーン大統領が暗殺されてしまい犯人探しに躍起になっていた頃の史実に基ずく話らしいです。ほんのちょっとだけベッドに横たわるリンカーン大統領の顔が見えましたけど・・・けっこう激似でした。本作品のメインは女性メアリー・サラットを共謀犯に仕立てようとする側と真っ向から救い出すために立ち上がった若きフレデリック弁護士との激論・・・法廷での弁論が興味の核と言えるのではないでしょうか。それから、周囲の方々の葛藤も見逃せんね。結局、『声をかくす人』は誰だよって思うんだけど・・・ストーリーを追いかけていくと、薄々、理不尽なことを言って困らせてる方だって気がつくのではないでしょうか。監督は恥を忍んでそこをえぐりだしたかったのでしょう。監督の真実を知りたい、伝えたい意気ごみはクオリティ高い映像が物語っていました。見て損なしですね。
作品の詳細
作品名:声をかくす人 |
原作名:The Conspirator |
監督:ロバート・レッドフォード |
脚本:ジェームズ・ソロモン |
公開:アメリカ 2011年4月15日、日本 2012年10月27日 |
上映時間:123分 |
制作国:アメリカ |
製作費:2500万ドル |
興行収入:1500万ドル |
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