ドラマ

女と男の観覧車

夢のように美しい映像で人生の切なさを描ききった、ウディ・アレン監督の恐るべき野心作が誕生

ストーリー:時は1950年代、ジニー(ケイト・ウィンスレット)は遊園地にあるレストランで働いている。再婚同士で結ばれた、回転木馬の操縦係を務める夫のハンプティ、そして自身の連れ子と暮らしている。実は彼女は夫に隠れて、海岸で監視員のアルバイトをしているミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク )と付き合っていた。平凡な毎日に失望していたジニーは、ミッキーとの未来に夢を見ていた。だが、音信不通になっていたハンプティの娘キャロライナが現れたことから、すべてが狂い始める・・・。

出演:ケイト・ウィンスレット、ジャスティン・ティンバーレイク 、ジム・ベルーシ、ジュノー・テンプル 、ジャック・ゴア、デビ・メイザー、トニー・シリコ 、デヴィッド・クラムホルツ

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ ほどほど老いた人に染みる作品

ウディ・アレンって年を取るごとに「悲劇の巨匠」になっているなあ。始めから終わりまで無駄がないセリフ、シーン。古い映画のような光の使い方(めちゃくちゃかっこいい)。そしてキャスティングの素晴らしさ。ケイト・ウィンスレットよりも偉大な女優なんてこの世界にいないと思えた。小品のように見えて、彼の英知が凝縮された作品。間違いなく五つ星★です。それにしても、あの放火癖のある息子は子供時代のウディ・アレン自身?昔インタビューで子供のときに火をつけて遊んでいた、と話していたし、コニーアイランドは彼の幼少期の思い出の場所だそうな。なんとなく重ねて見てしまった。

★★★★★ 人生の予測のつかない廻転

軽妙さ、ユーモアが少なく、展開もテーマも重めでウディ・アレンらしくない(という言い方も語弊がありますが)ほうの作品にはいるのかなと思います。「欲望という名の電車」と比較されるケイト・ブランシェット主演の『ジャスミン』と似た印象があります。大女優が主人公をつとめ、ラストなどの救いようのなさなどから。ケント・ウィンスレットはうまいと思いました。思い違いでなければ『カイロの紫のバラ』にも観覧車が登場して印象にのこる使われ方がしていたのでは。遊園地に住むという環境のわるさや夢に破れてしまったこと、過去のあやまち、片頭痛に悩まされるなど今更ですが、ウディ・アレンは人間心理をこころにくいほど熟知していると私も頭痛を抱えながら思いました。

★★★★☆  ウディ・アレン最後の作品か?!

2017年アメリカ製作のドラマ作品。本作は私の大好きなウディ・アレン監督の最新作だが、彼は現在#MeTooによる告発を受け、監督生命最大の危機にあり、本作が実質上最後の作品となる可能性大といわれている。恋愛は、自身の思いと共に相手の好意があって成立するもので、それは必ずしも合致するとは限らず、その不均衡をそれぞれが葛藤、欲張り、諦め、妥協して成立させる。そして過去の恋愛を省みて、悔いを残す場合もある。このような男女間で生じる性に逆らえぬ過ちを、全て白黒真っ二つに断罪できてしまうヒトは、観ても不機嫌になるだけの作品でしょう。記憶に美しく残る映像手法、落語の人間の業の肯定に通じるヒューマンドラマ、時代考証がありながらカッコいいファッション・・・ウディ・アレンにしか作れない新たな作品が、観れなくなるのは辛い。

★★★★☆ 夢見る狂気の女

イプセンの戯曲のようにひと言ひと言のセリフがシンプルかつ選び抜かれていてひとつも見落とせない隙のなさ。そのままに起承転結まで一気に駆け抜ける。遊園地の中にある元「見世物小屋」だった妙にだだっ広いワンルーム(”Place used to house a freak show.”)、そこがメインの舞台となり、寄り集まって暮らすやもめ男女とその子供たちによって繰りひろげられる新たな「見世物小屋」が始まる・・・(ドンドンドンと太鼓が鳴って幕が上がるかんじ)主人公のジニー(ケイト・ウィンスレット)を見ていると、人間の欲望には際限がないねとか、現実の恵まれた境遇に感謝し楽しめない人は一生の不幸を背負ってしまうとか、本人は精神を病んで狂ってしまうけれど、挙句の果てには周囲の人間までも不幸にするとか。いちいちリアルで、宗教も倫理もない現代人の我々が個人の欲望を追求し続けるとどうなるか、それを回避するためにはどう生きたらいいのか、そんな類の普遍的なテーマが心に重くのしかかってきます。人物背景や、かれらの発言の意味、リッチー(息子)の放火グセや映画にのめり込む訳、間男ライフガードのミッキーの劇中における役割、そういうものをひとつひとつ丁寧に分析していっても深く楽しめるはず。ウディ・アレン作品は初めてみたけれどこれはオススメ。ただ舞台でなく映画なら映画の利点をもっと活かした撮り方・シナリオ展開の仕方があったと思う。そこだけ若干残念。

作品の詳細

作品名:女と男の観覧車
原作名:Wonder Wheel
監督:ウディ・アレン
脚本:ウディ・アレン
公開:アメリカ 2017年12月1日、日本 2018年6月23日
上映時間: 101分
制作国:アメリカ
製作費:2500万ドル
興行収入:1500万ドル
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