『ローマの休日』を生み出した脚本家の真実の物語
TVシリーズ『ブレイキング・バッド』で絶賛を博した、名優・ブライアン・クランストンが固い信念を貫いたトランボの型破りでユーモアに満ちた生き様を体現!
ハリウッド黄金期に一番人気のあった脚本家ダルトン・トランボ。しかし、順風満帆に見えた彼の人生は、一瞬で地に落ちる。当時、冷戦の影響により横行していた赤狩り。トランボはその標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒んだという理由で投獄される。釈放された後も、名前を変えることで、秘密裏に「ローマの休日」などの物語を書き続け、二度もアカデミー賞を受賞する。1970年、トランボはWGA(全米脚本家組合)より功労賞を授与され、赦しと反省の大切さを述べ、物語は終盤へと向かう。本作は実話をもとにした社会派ドラマでありながら、トランボの家族愛・映画への熱い情熱が伝わる真実と信念の物語である。
ストーリー:第二次世界大戦後、赤狩りが猛威をふるうアメリカ。その理不尽な弾圧はハリウッドにもおよび、売れっ子脚本家トランボ(ブライアン・クランストン)は議会での証言を拒んだという理由で投獄されてしまう。やがて出所し、最愛の家族のもとに戻るトランボだったが、すでにハリウッドでのキャリアを絶たれた彼には仕事がなかった。しかし友人にこっそり脚本を託した『ローマの休日』に続き、偽名で書いた別の作品でもアカデミー賞に輝いたトランボは、再起への道を力強く歩みだすのだった・・・。
出演:ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、ヘレン・ミレン、ルイ・C・K、エル・ファニング、ジョン・グッドマン、マイケル・スタールバーグ
★★★★★ 「赤狩り」の実態と徹底的な抵抗
今から見れば狂気の沙汰と思える「赤狩り」、その具体的な実施マニュアルのような「ブラックリスト」をいかに崩壊させるか、ドルトン・トランボは自身の仕事と家族の生活を守るため、映画界の優れたクリエイターたちの才能発揮の機会を守るために戦った。これはその事実をドラマとして表現したもの。同タイトルの書籍もあり、これはそれをベースにしている。あわせて読むとより具体的な詳しい事情がわかる。
★★★★★ 2016年に観た映画で一番のお気に入りです
最近は「繰り返し観たい」という映画になかなか出会わないのですが、この映画は久々に映画館に複数回足を運びました。脚本・キャスティング・音楽がどれも素晴らしく、50年代のハリウッドに吹き荒れた「赤狩り」に翻弄された人々のドラマが鮮やかに描かれています。トランボ役のブライアン・クランストン、ヘッダ・ホッパー役のヘレン・ミレンの演技も見どころですが、個人的にはトランボの妻を演じたダイアン・レインに感動。80年代には日本のTVCMなどでも活躍していましたが、年齢を重ねた今、家族をしっかりと支える母親役を見事に演じ切った彼女に当時のファンとしては心からの拍手を送りたいです。実はこの映画が話題になるまでトランボのことをよく知らず、自分の好きな名画の数々があれもこれも彼の手によるものだったと知って驚きました。この映画を観たら、また『ローマの休日』や『スパルタカス』等を観なおしたいと思いました。社会派映画としてだけでなく、娯楽作品としても完成度が高いと思うので、是非多くの方に手に取っていただきたいです。
★★★★★ 脚本家の映画だからなのか、セリフが素晴らしい
脚本家ダルトン・トランボの戦後からの伝記映画です。個人的にはダルトン・トランボといえば、『ローマの休日』よりも『ジョニーは戦場にいった』という絶対に忘れることはないであろう作品を原作・監督した人ではあるが、本作では言及されることはほとんどありません。監督は『ミート・ザ・ペアレンツ』のジェイ・ローチ。当時の映像や音声を再現した演出やコメディタッチな演出をし、かつシリアスさも出しつつ、脚本家の映画だからだろうか素晴らしいセリフが多く、例えば、強いアメリカの象徴である俳優ジョン・ウェインには戦争には行った経験がないことを皮肉るセリフや、すべてのシーンが名シーンの脚本をもとめる監督に言ったセリフなどいいセリフの多い作品です。監督のトランボの実娘を中心に徹底的にリサーチをした結果が役者たちにも伝わったのか複雑な人格を持つトランボ演じたブライアン・クランストン、再現率ほぼ100%のカーク・ダグラスを演じたディーン・オゴーマン、頭のおかしいB映画の社長を演じたジョン・グッドマン(『アルゴ』でもニセ映画の社長)、など演者たちも素晴らしいです。様々な固有名詞が並んでいますが、それが解らずとも迫害をうけた男とその家族がともにこの困難を打開しようとする意味で家族向け映画として面白い作品です。おススメです。
作品の詳細
作品名:トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 |
原作名:Trumbo |
監督:ジェイ・ローチ |
脚本:ジョン・マクナマラ |
原作:ブルース・クック『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』 |
公開:アメリカ 2015年11月6日、日本 2016年7月22日 |
上映時間:124分 |
制作国:アメリカ |
製作費:1000万 |
興行収入:1300万ドル |
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