大統領になりかけた男の、過激でスリリングな最期の一週間!
ストーリー:国民の関心外に置かれていたブルワース(ウォーレン・ベイティ)の大統領選出馬。追い詰められた彼は娘を受取人に自分に多額の保険金をかけ、選挙戦最後の週末に自らの暗殺を計画。死を待つ身の彼は怖いものなしに本音とタブーを連発。それが彼の運命を思わぬ方向に導いた。国民の支持率は一気にはねあがり、大統領の座はほぼ確実。新しい恋もはじまり、すべてが絶好調で迎えた選挙戦終盤、皮肉にも暗殺の時は刻々と迫っていた! 彼の運命は一体どうなるのか・・・?
出演:ウォーレン・ベイティ、ハル・ベリー、オリヴァー・プラット、ドン・チードル、ポール・ソルヴィノ、ジャック・ウォーデン、イザイア・ワシントン、クリスティーン・バランスキー、ショーン・アスティン
★★★★★ 地味ながら凄い映画です。ウオーレン・ビーティって才能あるなあ!
とんでもなく面白く大胆不敵な現代アメリカ政治映画の傑作だったので、びっくりしました。何度も何度も見ました。アカデミー賞はノミネートされただけだったらしいですが、この映画に受賞させるほど、アメリカは自由な国ではないということでしょう。政治的にあぶない〜〜危険な台詞が満載です。リアルにアメリカ社会を感じさせる映画です!かつてリベラルでならした民主党上院議員ブルワースは、保守化右傾化する90年代アメリカ合衆国では有権者から見れば「過去の人」です。妻とは仮面夫婦ですが、選挙運動の写真撮影では仲のいい夫婦を装います。政治活動のために借金もかさんで、もう自分の命を担保に、1000万ドルの保険をかけるしかなくなっています。受取人は別居している17歳の娘ですが、ともかく、もう人間としても政治家としても、希望がなくなっているのでありました。で、ブルワースは開き直って、政治家としてはタブーの発言を繰り出します。黒人教会では「あ、黒人への政策なんか、党は忘れちゃってるから」とか「なんで今は黒人運動の指導者がいないの?黒人は、60年代のときの志を忘れて、なんで今はろくでもないことになってるの?」とか言ってしまいます。ハリウッドの映画人のパーティではユダヤ系映画人批判します。支援者のパーティでは、ラップであからさまにアメリカ政治の実態を歌い、自分のスポンサーである悪徳保険会社(保険会社は悪徳に決まっているか)にも容赦しません。全米放映のテレビ出演でも、Bボーイ・スタイル(黒人スラムの男の子の貧乏ファッション)で登場し、舌鋒するどくラップで共和党も民主党もなでぎりにし、タブー語を連発します。しょうもない偽善とありきたりの答弁に飽き飽きしていたアメリカ人は、いっきょにブルワース支持に向かいます。このあたりの過程が実にリズムよく展開します。マスコミなどの動きや、上院議員のスタッフたちの右往左往の描写も、アメリカの政治活動の実態を観客に垣間見せてくれます。ウオーレン・ビーティって才能ある俳優であるばかりでなく、すごい映画人だったのですね!こういう映画が作られたというだけでも、やはりアメリカって凄い。こういうハリウッド映画もある!
★★★★☆ もう本音を言うのは怖くない
選挙活動に疲れ果て、直属の部下に内緒でギャングの大物ヴィニーに週末に自分の暗殺を依頼したブルワース上院議員(ウォーレン・ベイティ)。月曜の朝には死んでいるはずだった。怖いもののなくなった主人公は遊説の先々で、ラップに乗せた軽快な口調で政治家の本音をぶちまける。まさにストレスの発散。有権者達だってバカじゃない。それくらいの「政治のウラ」は予想できていたものの、はっきり言い切られてみると返す言葉がない。腹は立つものの爽快でもあった。彼の人気は急上昇。「本音」の内容は、選挙システム、福祉政策、人種問題、宗教問題、メディアなどなど、そしてイラク問題にまで及ぶ。政治家にとってのあらゆるタブーを言いまくる主人公に、ニヤッとしながら爽快感を感じている自分に気付く。彼の暗殺計画絡みで、更に「オチ」にも絡んで、30歳も年のちがうセクシーなニナ(ハル・ベリー)とのロマンスがオマケに付く。こういう作品が生まれうるアメリカ社会の懐の深さに感服。この作品は「音声=英語」で観るほうが良い。彼のラップのノリは見所、聞き所だから。
作品の詳細
作品名:ブルワース |
原作名:Bulworth |
監督:ウォーレン・ベイティ |
脚本:ウォーレン・ベイティ、ジェレミー・ピクサー |
公開:アメリカ 1998年5月15日、日本 1999年6月12日 |
上映時間:106分 |
制作国:アメリカ |
製作費:3000万ドル |
興行収入:2900万ドル |
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