ギャングたちから大金を奪った男と、彼を追う最凶の殺し屋、事件の謎に迫る保安官の姿を描く
ストーリー:1980年代、テキサスの荒野。モス(ジョシュ・ブローリン)は狩りの最中、偶然死体の山に囲まれたトラックを発見する。そのトラックには、200万ドルもの大金が残されていた。モスは追われるとわかっていながら、思わずその大金を奪って逃走する。帰宅したモスは妻に実家へ帰るよう命じ、自分は大金の入ったカバンと共に逃亡の旅に出る。そんな彼を、冷酷な殺し屋シガーが追跡し始める・・・。
出演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ウディ・ハレルソン、ケリー・マクドナルド、ギャレット・ディラハント、テス・ハーパー、ジーン・ジョーンズ、スティーヴン・ルート、バリー・コービン
★★★★★ シガーの存在感があり過ぎて笑えてしまった
何度か観ているこの『ノーカントリー』だけど、何度見てもハビエル・バルデムが演ずるアントン・シガーの強烈さに圧倒される・・・・というか笑えてしまう。映画の中での役割としては、シガーは差し詰め「暴力のみで世界を支配しようとする」キャラクターなのであろうけど、顔だけで十分支配しとるわ!w ともかくも、コーエン兄弟による演出なのか原作は未読なので原作にそうした設定があるのか知らないけど、牛舎で牛を殺す圧縮空気ボンベ銃を人殺しに使う、だけでなくドアの鍵まで吹っ飛ばす道具として使うだなんて誰が考えたんだ?と思うほど秀逸なアイデアだと思うし、ホラー映画か?と見紛う(見紛えてないのかも?)ほどのこわーいアントン・シガーを、これでもかというくらいに色々な角度から楽しめる映画であることは間違いありません。それはそれとして、映画としてはやや難解で、ストーリーも謎解きを色々と楽しめるように作っているようでもあり、テーマ的なところも哲学的な解釈が必要だったりするところが、いい塩梅になっていると思います。何つーか、如何にもアカデミー賞などのブランド映画賞好みの映画という感じ。映像も美しくてスキがないし画面の作り方がとても上手いです。多分、00年代の映画としてはアメリカ映画では十指に入るほどの傑作だと思います。
★★★★★ 呆気に取られる終わり方
え、ここで終わる!?という所で終わる。普通そういう映画って、「なんじゃそりゃ」「訳わかんない」「つまんない」で片付けられてしまうんだけど、この映画はそうならない、何か圧倒されるような面白さがあった。むしろこの難解な映画を理解しきれない自分の方が、未熟で恥ずかしく感じるような、妙な余韻に浸ってる。殺し屋シガーを演じるハビエル・バルデムは「それでも恋するバルセロナ」で魅力的なスペイン人画家を演じ、スカーレット・ヨハンスンやペネロペ・クルスと同様に私もすっかり彼に恋したんだけど、……これ本当に同一人物なのか?と疑うほどの変わりよう。髪型だけじゃなくて、顔が違う。すごい。怖い。あのセクシーな色男はどこへ行ったの。実は10年前にも一度この映画を観ていて、20歳そこそこだったその頃にはこの映画の良さがさっっぱり解らずに「退屈」という感想しか持たなかったんだけど、今観返すと感じ方が全然違う。惹き込まれる実に面白い映画でした。
★★★★☆ バビエル・バルデムの演技に拍手
金を取り戻すためギャングに雇われた殺し屋シガー演じるバビエル・バルデムの演技がとにかく凄かった。冒頭の店員との会話から始まり、道中で会う人たち、標的に対して暗殺しまくります。何を考えているかわからない、冷酷無慈悲の怖さと魅力が光っていました。自分には主役はシガーに見えました。
★★★☆☆ ただ純粋に殺しの哲学を楽しむ映画
細かいストーリー展開や、登場人物の発言内容など、深入りしたくなる要素はありますが、この映画は純粋にアントン・シガーの殺しの哲学を楽しむことに価値があると思います。逆に、それを踏まえずに見ると不完全燃焼というかスッキリせずよく分からない映画として酷評してしまうことになりそうです。バルビス・バルデム演じるアントン・シガーの殺し屋としてのルールは何なのか、思いをはせることがこの映画の醍醐味です。彼は決して手当たり次第に殺しているわけではなく、シガーとの異様な問答にしどろもどろしながらも殺されずに済んだ雑貨店の店主や、シガーを追跡して近くまで迫りながらも殺されずに済んだトミー・リー・ジョーンズや、シガーの顔を見たにも関わらず殺されなかった少年たちは、彼の殺しのルールには当てはまらなかったわけですので、非情な殺し屋にも何らかのルールがあることが伺えます。
それを考えると、次々と殺されていった人たちも、彼とのやりとりのなかで何か生き残る方策があったのではないかと思えます。シガーと遭遇して自分は生き残れるか、それを考えてみるのも一興ですね。
作品の詳細
作品名:ノーカントリー |
原作名:No Country for Old Men |
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン |
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン |
原作: コーマック・マッカーシー『血と暴力の国』 |
公開:アメリカ 2007年11月21日、日本 2008年3月15日 |
上映時間:122分 |
制作国:アメリカ |
製作費:3000万ドル |
興行収入:1億7100万ドル |
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