ドラマ

泳ぐひと

主人公の眼を通して、アメリカ上流階級を皮肉った問題作

ストーリー:日曜日の午後、高級住宅地にある友人宅に水着姿で現れたネッド(バート・ランカスター)。彼は友人たちの敷地内にあるプールを順々に泳ぎながら我が家へ帰ろうと思いつく。だが、彼がプールで出会う人々の態度は次第に奇異なものとなり、ネッド自身も人生への疑問を抱くようになる・・・。

出演:バート・ランカスター、マージ・チャンピオン、キム・ハンター、ジャネット・ランドガード、ジャニス・ルール、ジョン・デヴィッド・ガーフィールド、ジョーン・リヴァーズ

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ 上流階級

ジョン・チーバーの短編「泳ぐひと」の映画化。 確認できませんが、原作者もどこかで出演しているそうですね。公開当時、随分評価が高かったようで、それは富と繁栄に酔いしれ未来を疑うことも無かった上流階級へ冷水を浴びせるような内容で、格差社会に批判的な知識階級の支持を受けたためかもしれません。ある社会的にも成功して順風満帆に思えた男が、何かの理由で事業に行き詰まりやがて破産し、家庭崩壊する真実のようです。映画では本人の姿は変わらず、周囲は恐ろしいほどのスピードで時間が過ぎていき、ついには消失しますが、それが不気味な雰囲気になっております。ランカスターの立派な躰と根拠のない自信と 慟哭が印象に残りました。

★★★★☆ 光と影の織りなす現代の寓話・・・最後まで裸の演技に徹したバートに感服!

新しい映画の波が世界的に起こった1960年代の後半にアメリカで作られた異色作。光と緑のまぶしいある日、忽然と海水パンツ一枚の中年男が現れる。引き締まって見事な体つきで、自信満々の彼は、郊外の隣人たちのハイソサエティな一戸建てに付いているプールを巡り泳いで、家路に着くことを思いつく。先へと
進むにつれて、彼を知る隣人たちの態度がおかしくなり、明らかな嫌悪感を示す者も出てくる。そしてついに自分の家にたどり着くのだが・・・・さて、そこには何が待っていたか?健康で若々しく自信にあふれた主人公の、やがて屈折した人生の光と影が明らかになって絶望していく姿を、スターでしかも名優のバートランカスターが見事に演じきっている。いや、この繊細で複雑な役柄をなぜ彼がと、最初はいぶかしく思うのだが、見終わると、彼の立派過ぎる動物的な肉体と風格のある野性的な顔が必要だったと納得いく。映画は映像的な冒険もしており、特に遠近からフォーカスをぼかす手法を多く取り入れて、暗示性を高めている。主旋律の悲劇調の音楽も悪くない。途中、主人公をひそかに慕っていた少女とのエピソードが切ないほど印象深く、映像的にも優れた描写となっている。この映画は現代の、ひとつの、恐るべき寓話である。だから、理屈を超えて直裁に人間の心の闇に訴えてくるのだろう。ところで、最後までほぼオールヌードの演技に徹したバートにはどんな賛辞の言葉こそふさわしいのだろうか?

作品の詳細

作品名:泳ぐひと
原作名:The Swimmer
監督:フランク・ペリー、シドニー・ポラック
脚本:エレノア・ペリー
公開:アメリカ 1968年5月15日、日本 1969年9月6日
上映時間:95分
制作国:アメリカ
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