“欲望”をのみこんでゆく・・・
★世界の映画賞を席巻した傑作スリラー
監督のカーロ・ミラベラ=デイヴィスは、自身の祖母が強迫性障害により手洗いを繰り返すようになったというエピソードから本作を思い立ち、結婚、妊娠、夫や義父母からの重圧により孤独を深めていく主人公が、異物を呑み込むことで自分を取り戻していくというショッキングな物語を生み出した。本作はトライベッカ映画祭で披露されるや批評家からの大きな絶賛を集め、主演のみならず製作総指揮を務めたヘイリー・ベネットはその体当たりの熱演によりトライベッカほか様々な映画祭で主演女優賞を獲得!
ストーリー:完璧な夫、美しいニューヨーク郊外の邸宅、ハンター(ヘイリー・ベネット)は誰もが羨む暮らしを手に入れた。ところが、夫は彼女の話を真剣に聞いてはくれず、義父母からも蔑ろにされ、孤独で息苦しい日々を過ごしていた。そんな中、ハンターの妊娠が発覚する。待望の第一子を授かり歓喜の声をあげる夫と義父母であったが、ハンターの孤独は深まっていくばかり。ある日、ふとしたことからハンターはガラス玉を呑み込みたいという衝動にかられる。彼女は導かれるままガラス玉を口に入れ、呑み下すのだが、痛みとともに得も言われぬ充足感と快楽を得る。異物を“呑み込む”ことで多幸感に満ちた生活を手に入れたハンターは、次第により危険なものを口にしたいという欲望に取り憑かれていく・・・。
出演:ヘイリー・ベネット、オースティン・ストウェル、エリザベス・マーヴェル、デヴィッド・ラッシュ、デニス・オヘア、ローレン・ヴェレス、ザブリナ・ゲバラ、ライト・ナクリ、ババク・タフティ、ニコール・カン
★★★★★ 異食症を扱った、異色作!
とにかく、主演のヘイリー・ベネットが素晴らしかった。この作品は、彼女じゃなかったら成立しないかも。そう思わせるだけの凄みと魅力が感じられた。NY郊外の豪邸。誰もが羨む生活。でも、新妻の心は空虚。異物を飲み込んでは吐き出し、異食症もエスカレート。しかし、夫や義父母は自分たちを顧みることなく、原因の全てを彼女に押し付けた治療をする点も実に滑稽。自分の存在証明。最後に彼女が手にするものは何か?
★★★★☆ 何もかも飲み込めない
女性として、人間としての幸せとは何か。日本でも豪邸に暮らす専業主婦のみならず、専業主婦になることを理想としている風潮がまだまだ色濃くある。でもその実情は、我慢を飲み込むこと、女が一歩引いて男を立てること、自分の主張を押し殺して家庭に尽くすことであったりする。精神病は追い詰められた心の叫びだ。飲み込めないものを飲み込んでいるという叫びだ。私は私だ。誰の所有物でもない。私の存在の全ては産まれたときから無条件に愛されていいはずだという主張だ。この映画を見て、この程度のことも我慢できないのかと思う女性が多くいるということが日本の旧態依然とした現状だろう。
作品の詳細
作品名:Swallow/スワロウ |
原作名:Swallow |
監督:カーロ・ミラベラ=デイヴィス |
脚本:カーロ・ミラベラ=デイヴィス |
公開:フランス 2020年1月15日、日本 2021年1月1日 |
上映時間:95分 |
制作国:アメリカ、フランス |
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