「疑わしきは罰せず」・・・裁判と法律の盲点をテーマにした社会派アクションの問題作
ストーリー:法律学校を優秀な成績で卒業し、判事となって活躍するスティーブン・ハーディン(マイケル・ダグラス)。純粋な正義派で理想主義者である彼は、法は大衆を守ると信じ、証拠不十分な点があると、凶悪犯でも釈放した。しかしある連続殺人事件をきっかけに、法律が凶悪犯人たちを「護っている」のではないか・・・と悩むようになる。同じような悩みを持つ判事たちが、“私設裁判”を持ち、一度は無罪になった凶悪犯たちを血祭りにあげ、制裁、惨殺している組織の存在を知り、一味に加わっていく。しかし、ハーディンは、この私設裁判が重大な誤りを犯したことに気づき、なんとか刑の執行を止めようとするが・・・。
出演:マイケル・ダグラス、ハル・ホルブルック、ヤフェット・コットー、シャロン・グレス、ジェームズ・シッキング、ジョー・レガルブート、ドン・カルファ、ジョン・ディサンティ、オーティス・デイ、ジャック・キーホー、ディック・アンソニー・ウィリアムズ
★★★★☆ 誰もが楽しめる社会派娯楽作品の佳作。
どんなジャンルの作品でも一定水準(以上)の娯楽作品に仕上げることができるP・ハイアムズ監督の手堅い演出で、緩急取り混ぜたテンポ良いサスペンスを堪能できる良作である。悪を裁くことではなく、法律に則った手順の裁定を行う法廷のシステムのジレンマや、その問題意識を打ち出した意欲作である。鑑賞者も法律制度の疑問点を考えさせる内容であり、クライマックスはアクションや爆発もあるサービス精神旺盛な構成は、脚本にも関与したP・ハイアムズ監督の手腕であろう。苦悩する判事を抑えた演技で熱演したM・ダグラス、名脇役H・ホルブルックとY・コットーがドラマにアクセントを加え、奥行きのある娯楽作品に仕上がっている。最初の1時間は法制度の受け入れがたい現実の描写に費やされ、物語の進行が緩やかな印象を受けるが、後半の影の組織の存在意義を打ち出すには必要な措置であろう。エンドロール寸前のラストのオチがシニカルであったが、決して、ハッピーエンドになっていないところに製作陣の真摯な姿勢を受け取ることができる。誰もが楽しむことができる社会派の娯楽作としての仕上がりは流石である。
作品の詳細
作品名:密殺集団 |
原作名:The Star Chamber |
監督:ピーター・ハイアムズ |
脚本:ロデリック・テイラー |
公開:アメリカ 1983年8月5日、日本 1984年6月23日 |
上映時間:109分 |
制作国:アメリカ |
製作費:800万ドル |
興行収入:560万ドル |
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