ドラマ

エデンより彼方に

私らしく、生きる。愛のおもむくままに

1950年代のダグラス・サーク作品に影響を受けた目もくらむような鮮やかな色彩が全編を彩り、ブルジョアの家庭に暮らす主婦を待ち受ける困難な愛の旅路を、秋の美しい風景の中に浮かび上がらせていく。

ストーリー:1950年代、秋のコネチカット州の⼩さな町。ブルジョワの家庭で暮らす主婦キャシー(ジュリアン・ムーア)は、⼀流企業に勤める夫を⽀える妻、そしてふたりの⼦供のよき⺟として町の人々から慕われる「完璧で理想の主婦」だった。しかし、ある晩、仕事で遅くなった夫に夕食を届けようとオフィスを訪れたキャシーは、そこで夫の「秘密」を目にしてしまう。激しく心揺さぶられるキャシー。そんな彼⼥にやさしく接したのは新しくやってきた⿊⼈の庭師レイモンド(デニス・ヘイスバート)だった。次第に2人は心の距離を近づけていく。しかし2人の関係は、閉鎖的な小さな町で大きなスキャンダルとなっていくのだった・・・。

出演:ジュリアン・ムーア、デニス・クエイド、デニス・ヘイスバート、パトリシア・クラークソン、ヴィオラ・デイヴィス、ジェームズ・レブホーン、ベット・ヘンリッツ、マイケル・ガストン、セリア・ウェストン

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ その美術と色彩でも見る価値のある作品

アメリカが最も輝いていた、というか人種問題を含め社会的課題が表面化していなかった1950年代の米国ブルジョワ家庭が舞台。何よりも素晴らしいのは、美術、セット、衣装、アクセサリー、そして車等で見事に1950年代が再現されていることだ。また、幼少のころブラウン管のトムとジェリー等で知ったお金持ちのアメリカ人の理想的な生活スタイルも余すことなく伝わってくる。さらに、あたかもその時代に撮影されたように錯覚してしまう色彩が、これもまた素晴らしいものだ。観るモノがみれば、街路樹の紅葉で色づくコネチカット州の街並を流線形が基調となったアメリカ車が疾走するオープニングだけで、スキを見つけることが出来ない程の時代再現性に感動すら覚えるはずだ。この感動はCGでは絶対に作ることが出来ない。この映画と比較すれば、あの名作、アメリカングラフィティの時代再現性がレベルの低いモノに見えてしまう。(事実そうであるが)ブルジョワ家庭に暮らす理想的な主婦であるキャシーをジュリアン・ムーアが演じるが、これが見事なはまり役だし、知的な黒人庭師を演じるデニス・ヘイスバートも素晴らしい。監督は自らゲイであることを公表しているトッド・ヘインズだが、この作品の13年後、2015年に再度1950年代のお金持ちの生活を映し出した『キャロル』をクランクアウトする。

★★★★★ ほころびるいびつな完璧さ

社会派でも、恋愛ものでもありません。見ていて、どうしようもない居心地の悪さを感じさせる映画ですが、それが計算された展開なんだと、しばらくしてからわかりました。パーフェクトファミリーの長であるために、ゲイであることを隠すつもりで破綻していく身勝手な夫。一見インテリで思いやりあるが、自分の立場を理解していない黒人庭師。完璧な妻であり母でもあるが、実のところは無神経で軽率な主人公。よく見ないと、この部分に気づかない巧妙な作りになっています。一見美しい画面ですが、実際には毒々しい色づかいをしており、あまりにも完璧な家族・夫婦の嘘くささを際正せています。原題は「天国から遠く」ですが、邦題の「エデン」も、物語そのものに対して、ひじょうに意味深長なタイトルです。人間は、完璧なエデンからは遠いほど、愚かで軽率で、虚飾と嘘に満ち、エゴだらけの生き物なのであると、この映画を見るとわかります。見るものの目には、それが優しさ、誠実さ、正直さにうつる場合もある。それこそが、蛇にりんごを渡されて、結局それによってエデンを追い出された人間そのものなのではないかと思いました。ジュリアン・ムーアの美しさには目をみはるものがあります。また、つかわれている言葉の美しさも、昨今の映画ではあまり耳にしないもので、とてもよかったでした。

★★★★☆ 味わい深い、とても素敵な映画でした。

あの黒人が、いったい何をしたというのだろう?理不尽な差別や偏見で職を失い、住み慣れた街を、去らねばならないなんて・・・。少数派の気持を、言葉で伝える代わりに、黒人の店にキャシーを連れてゆくレイモンド。立ち居振る舞い、とても魅力的に描かれていて、話す内容の面白さ、奥深さが心に残ります。最後の別れのシーンが素晴らしい!ふたりの抑えた演技に涙がでました。交わす言葉もない、あの空白の時間、ジワジワふたりの気持が伝わってくるんです!役者の魅力、映像の美しさ、そしてあの雰囲気。考えさせられる映画で、とても良かったです。

★★★☆☆ 奥様スタイルに注目

ホワイトカラーの旦那、美しく献身的な妻と子供二人のまさに「絵に描かれたような良く出来た」家庭。始めから壊れそうなもろそうな雰囲気を感じるように映像が作られているような印象を持ちました。壊れる以外に話の展開が見えないほど作りこまれていたからでしょうか。奥様方の衣装がとても綺麗、見ていて楽しいです。黒人を差別していた時代の空気をこんなに実感として感じる映画は珍しいかも。黒人は白人の下だという考えが当然の時代。主人公は黒人差別を否定する考えを持っているけれどもそれを表明して町の中で生きるのは難しい。けれどヒロインなんだから信念を持って立ち向かうはず!と思いきや保身にまわります。そんなところもかえってリアルで、自分の身に置き換えて考えてしまいました。

★★★☆☆  色彩が素晴らしいけれど。

『めぐりあう時間たち』と時をほぼ同じくして作られたJ.ムーア主演の作品。50年代アメリカブルジョワ家庭の主婦。主婦をやらせたら彼女の右に出るものはいないような気がする。彼女の物腰、その声、容姿。どこから見ても「mama」なのだ。色彩の鮮やかなファッションに家具、そしてコネチカットの街並。E.バーンスタインの美しい旋律がムードを高める。しかし、黒人と友好関係をもってしまったことへの代償や、同性愛者だった夫との結末のい描き方は少し甘くはなかったか。また、ラストシーンはいまひとつ盛り上がりにかけていたような気がする。その分、ムーアの美しさは際立ったけれど。

作品の詳細

作品名:エデンより彼方に
原作名:Far from Heaven
監督:トッド・ヘインズ
脚本:トッド・ヘインズ
公開:アメリカ 2002年11月8日、日本 2003年7月12日
上映時間:107分
制作国:アメリカ、フランス
製作費:1300万ドル
興行収入:2900万ドル
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