現実にアフリカで起きた事件を題材にしたジョン・ル・カレの同名小説を原作に、壮大なスケールで描く力作サスペンス映画
ストーリー:妻のテッサ(レイチェル・ワイズ)とともに、駐在先のナイロビで暮らしていた外交官のジャスティン(レイフ・ファインズ)。ある日、殺人事件で妻が亡くなったとの知らせが届く。しかし、妻の死に疑念を抱いたジャスティンは、事件の真相を独自に調べ始める。たどり着いた先はアフリカで横行する薬物実験、官僚と大手製薬会社との癒着、そして多国籍企業による世界的陰謀だった・・・。
出演:レイチェル・ワイズ、レイフ・ファインズ、ダニー・ヒューストン、ビル・ナイ、ユベール・クンデ、ピート・ポスルスウェイト、ジュリエット・オーブリー
★★★★★ Gaon
「ケニヤの風景がそのまま描かれている」と、アフリカ研究者がおっしゃってました。腐敗した政府と欧米資本が絡まって悪と無慈悲が横行するアフリカの現実に対して、不正を暴き人道的態度を貫こうとした一人の白人女性。その夫は、妻の死後にその足跡を辿る旅をする中で、初めて彼女の真実に出会う。やがて自らも闇に目をそらさず正面から戦うことを始める・・・。最高に悲しく美しい映画。これはフィクションと言えるのか?トゥルカナ湖の色が凄みを帯びるほどに美しい。
★★★★★ 妻への愛
人をここまで愛せるか? 命がけで愛するものの意志を継ぎ、巨大な組織を相手に戦えるか?アフリカを舞台に、薬物実験をしようとする製薬会社。それを阻止しようと戦う妻。しかし、何者かにより、妻は殺される。妻の死を知った夫が妻と同じ戦いを始める。簡単に言うとこのようなストーリーですが、とにかく夫(レイフ・ファインズ)の妻(レイチェル・ワイズ)に対する愛情がびしびしと伝わってきます。庭弄りが好きな夫が、アフリカの地で変っていく。妻の無念を晴らす為に…。素晴らしいラブストーリーです。ストーリーも素晴らしいのですが、アフリカの映像の美しさ。それとは逆のけして裕福とはいえない人たちの生活空間。美しさと貧しさのどちらも併せ持つアフリカの映像が見ることができます。そこにつけこんだ製薬会社の悪事は、けして許されるべきことではない。弱者と思われる相手に金儲けをしてはいけな。レイチェル・ワイズが、この作品でオスカーを獲得しましたが、個人的には夫役のレイフ・ファインズの方がよかったと思います。一途に妻を愛する夫を好演していたと思います。ビル・ナイも良かったと思います。DVDの仕様は、メイキング等は収録されていますが、音声解説が欲しかったです。特に夫の方には必見の作品です。コレクションの一枚にもいいのではないでしょうか。
★★★★★ 美しいロマンチックドキュメンタリー
妻の、夫の対する深い愛情。しかし、それは深いからこそ夫には伝わらない。妻の唐突な死によって、それはさらに深く隠されてしまう。夫は、妻の死に、自分に対する裏切り(=浮気)を感じて衝撃を受ける。しかし、その後、裏に隠された真実、すなわち、アフリカにおける母国政府と大手製薬会社の理不尽な陰謀の影を感じ取り、自ら、妻が死ななければならなかった理由を追求していく。次第に明らかになっていく事実。最後にすべてを知った時、夫は、自分にとっては妻の愛こそが「home」=「魂の居場所」であり、これまでそれに気付かなかったことを深く悔いるとともに、「home」こそ、自分が居るべき場所であることを悟る。ロマンス(=夫婦の間の深い愛情)とドキュメンタリー(=陰謀とその解明)の複線化されたストーリーが、美しいアフリカの情景、音楽、名優のすばらしい演技とあいまった、非常に完成度の高い作品である。近年、これほどに心を動かされた映画はなかった。
★★★★☆ 愛の強さ
人命よりも金銭的利益を優先する企業の愚かさと、主人公である男女の不滅の愛を描いた作品です。あくまで私一個人の感想としては、後者の愛の強さに涙が流れました。心から愛する女性を、企業利益の為に失った夫の苦しみ。それはただの喪失感ではなく、生前、相手の女性を信じきれなかったことへの悔恨の念、許しを請いたくても、もう請うことができない現実。妻は、夫を危険に巻き込みたく無い一心で、夫に真実を伝えず、自分が信じる道を進み、その命を落とします。私が夫であれば当然、全てを伝えて欲しいと思います。反面、妻の気持ちになれば、愛する人間を危険に巻き込むくらいなら、辛くても沈黙を守るのだろうとも思いました。愛には幾つもの顔があることを改めて感じました。
作品の詳細
作品名:ナイロビの蜂 |
原作名:The Constant Gardener |
監督:フェルナンド・メイレレス |
脚本:ジェフリー・ケイン |
原作:ジョン・ル・カレ『ナイロビの蜂』 |
公開:アメリカ 2005年8月31日、日本 2006年5月13日 |
上映時間:128分 |
制作国:アメリカ、イギリス、ドイツ、中国 |
製作費:2500万ドル |
興行収入:8200万ドル |
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