殺すか! 殺されるか!素早い者が生き残る拳銃の掟!
ストーリー:クロス・クリークの町に移り住んでから4年の間、平和に暮らしていた雑貨商を営むジョージ(グレン・フォード)と妻のドーラ(ジーン・クレイン)。しかし、ジョージはドーラにも町の人間にも隠れて早撃ちの練習にいそしんでいた。 その頃、シルヴァー・ラピットの町で起こった無法者ハロルド(ブロデリック・クロフォード)による決闘の話題が町に流れ、人々がハロルドが世界一の早撃ちだと噂し始める。すると、ジョージの様子が変わってしまい、それまで一滴も飲まなかったのに酒場を訪れ、酔った挙句に「俺こそ早撃ちの名人だ」と叫び、人々の見守る中、見事な早撃ちを披露してしまった・・・。
出演:グレン・フォード、ブロデリック・クロフォード、ジーン・クレイン、ラス・タンブリン、アリン・ジョスリン、リーフ・エリクソン、ジョン・デナー
★★★★☆ 轍
小気味よいテンポで物語が進む大変見やすい西部劇でした。「西部劇」も「グレン・フォード」にも特に思い入れのない私は、事前情報で単に「面白そうかもしれない」と判断し購入に踏みきりましたが、結果的には買って良かった作品でしたね。主人公が長年かかえる葛藤や他者からの過度の期待感で真実が埋もれたり、突発的な出来事と変わり身のはやい人々の無責任さで窮地に陥りかけたりする展開など見所も多く、人びとの軽々しさでちょっと嫌な気分にさせられたかと思うと、〆で美談すぎるくらいの団結力で結ぶことで先の後味の悪さを帳消しにし、誰もが抱える「心の危うさ」を娯楽的展開と共に無理なく物語に溶け込ませ、楽しませながら考えさせる理想的なエンターテインメントです。そんな物語の面白さもなんなのですが、私的には主な舞台となり、主人公が実像を伏せ生活する「保安官がいない町」の設定と美術に目がいっちゃいました。強盗を生業にしている連中が「魅力を感じない町」で、いちよう酒場に鍛冶屋、理髪店に雑貨店などが建ち並び、定期的に駅馬車も通過する感じで町としての体裁は整っているようなのだが、銀行が無い(?)らしく、まとまった金品が入手しづらいためか強盗からもそっぽを向かれ、従い犯罪率も低いようで保安官が在中しない平和だが「忘れられた町」みたいな設定なのです。その町の設定も主人公が居をかまえる理由として機能している点も上手いし、そんな町だから拳銃をこれ見よがしに腰にぶら下げているだけで「男」となれる「なんちゃってガンマン」も大きな顔ができていたり、主人公が別の顔を見せ、その結果、町民たちが一斉に群がる「前フリ」としても生かされています。それ以上に「数多ある西部劇でもあまり見かけない」と感じた細かな美術の面白さとしては、町の大通りに馬車が行き来するために地面に刻まれる車輪の轍がレールのようにくっきり二本残っている風景、町の生活痕です。ここ1年以内に本作とは別に西部劇を3~4本見ていますが、本作みたく町中の主要通りに荷車や馬車の車輪跡がくっきり残り、その跡から人々の存在感を漂わせるみたいな凝りようは見受けられませんでしたし、同じように乾いた土煙舞う赤土の大通りであっても、きちんと整備されていて「役者がつまずいてしまわないよう」「撮影の邪魔にならないよう」綺麗に平坦で無味乾燥な生活道路ばかりでしたから。そういう見地からだと、道に線を二本引くだけで変哲もない町に個性がでて、人々の息吹きが伝わり、本作がけっしてガンプレイや世紀の決闘など西部劇にありがちな要素を主題にしたのではなく、平凡だけど日々生き抜く多くの人間の「生活そのもの」に着目し描こうとしているんだと思えてくるし、きっとそういった「地味な真摯さ」が込められた演出の端々が知らず知らず観客を魅了し、また普遍的な要因であるために古びない西部劇として楽しめるんだと感じました。
作品の詳細
| 作品名:必殺の一弾 |
| 原作名:The Fastest Gun Alive |
| 監督:ラッセル・ラウズ |
| 脚本:ラッセル・ラウズ、フランク・D・ギルロイ |
| 公開:1956年4月12日 |
| 上映時間:89分 |
| 制作国:アメリカ |
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