デヴィッド・O・セルズニックが、『風と共に去りぬ』に続いて、自ら脚色まで手掛けて製作した西部劇の超大作
ストーリー:1880年、南北戦争後のテキサスの町。インディアンの混血娘パール・シャベース(ジェニファー・ジョーンズ)は、気丈な性格だった。ある日、淫乱な性癖を持つインディアンの母親が行きずりの男と情事にふけっているのを知った父親、スコット・シャベース(ハーバート・マーシャル)が二人を銃殺した。パールは嘆き悲しむ。スコットはパールをいとこであり、昔の恋人であったローラ・マカンレス(リリアン・ギッシュ)に託して絞首台に消えていった。マカンレス家は広大な牧場を持つ資産家だった。ローラは優しくパールを迎えた。主のマカンレス(ライオネル・バリモア)は事故の怪我で車椅子の生活だったが、眼光鋭く、口の悪い頑固親父だ。二人の息子の兄ジェシー(ジョゼフ・コットン)は理性的な紳士だが、弟のルート(グレゴリー・ペック)は粗野で不躾な男だ。マカンレスはパールの父親がかつてローラと恋人であったのを知っているためか、パールを歓迎していない。「パール、真珠(パール)ってのは白いもんだ」マカンレスがパールにイヤミを言う。混血のパールの肌は褐色なのだ。数奇な運命に翻弄されながらもたくましく生きぬこうとするパールであったが・・・。
出演:グレゴリー・ペック、ジョゼフ・コットン、ジェニファー・ジョーンズ、リリアン・ギッシュ、ハーバート・マーシャル、ライオネル・バリモア、チャールズ・ビックフォード、オットー・クルーガー
★★★★☆ グレゴリー・ペック出演
西部劇、あるいは決闘ものとしては異色。白人とインディアンの混血であるパール(ジェニファー・ジョーンズ)が哀し過ぎる。白人社会が、混血であれインディアンの血をひく者、白人以外を受け入れることは頑としてない時代。それをいいことに甥っ子兄弟のうち弟ルート(グレゴリー・ペック)がパールを弄ぶ。ルートとの結婚という儚い夢を抱いたパールは裏切られ、ルートへの愛憎が最後に爆発する。兄ジェシー(ジョゼフ・コットン)はパールに教育を与えようとしたが、行動に移さず本気度が疑問であるし、迎えに行った時はパールとすぐに声かけできなかった。混血の姪っ子を即座には受け入れられなかったからだ。通底音としてあるのはレイシズム。パールが混血ではなく白人であれば物語が成立しないことから分かる。パールが白人であれば、さっさとジェシーかルートと結婚できただろう。パールの父親はいい人に描かれているが、母親は冒頭でインディアンの淫乱女。この混血イメージが、パールが移り気なのはさもありなんと思わせる布石である。脚本のデヴィッド・O・セルズニックは、訳のわからない女を描く。「風と共に去りぬ」では、自分のために偽装結婚を繰り返す性悪女。その「風と共に去りぬ」の西部劇版が本作「白昼の決闘」らしいが、一見、移り気な混血女。しかし混血であるが故に、周りから小突き回されて、そのような行動をとらざるを得なかった点が決定的に異なる。自ら終止符を打って断ち切らなければ救われることのなかったパールが余りにも可哀そうである。米国の大自然を背景に、馬に騎乗したカウボーイが群れを成して駆け集うシーンは圧巻。まるで一幅の西洋画を見ているかのように美しい。
作品の詳細
作品名:白昼の決闘 |
原作名:Duel In The Sun |
監督:キング・ヴィダー |
脚本:デヴィッド・O・セルズニック、オリヴァー・H・P・ギャレット |
公開:アメリカ 1946年12月31日、日本 1951年9月18日 |
上映時間:145分 |
制作国:アメリカ |
製作費:640万ドル |
興行収入:2000万ドル |
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