『あなたを、撮りたい』、―好奇心と欲望の末、辿り着いた魅惑の世界
ストーリー:1958年、ニューヨーク。裕福な家庭に育ったダイアン・アーバス(ニコール・キッドマン)は、ファッションカメラマンである夫アラン(タイ・バーレル)のアシスタントとして働きながら、心の中には常に自分のいる世界に居心地の悪さと不安を感じていた。そんなある日の夜、コートやマントで全身を覆い、目の部分だけがくりぬかれたマスクを被った男、ライオネル(ロバート・ダウニーJr.)がダイアンの隣に越してくる。この男の異形に激しく心を奪われたダイアンは意を決し、カメラを手に彼の部屋のベルを鳴らす。扉を開いた”運命の男”に隠された秘密は、彼女の好奇心を欲望へと駆り立てていく・・・。
出演:ニコール・キッドマン、ロバート・ダウニーJr.、タイ・バーレル、ハリス・ユーリン、ジェーン・アレクサンダー、エミー・クラーク、ジェネビーブ・マッカーシー、ボリス・マクギヴァー
★★★★★ 理屈ではない
あらゆるシーンが芸術作品のように調和がとれていて美しいです。青が印象的に使われていて、ディアンの刺すような強い瞳・ワンピース・カメラ・ライオネルの部屋(家具との調和が素晴らしく、差し色の赤がはっとする程美しいシーンを作り出しています)のすべての青がラストシーンの海に収束していくのが見事です。それからストーリーについて...優しい夫と守るべき子どもがいながら、ライオネルとの時間を過ごしてしまうディアンは身勝手です。けれども、「魂の共鳴」ともいえるような運命的な相手を見つけてしまった人間が、それを振り払って元の世界に戻れるでしょうか。ライオネルがみせてくれる世界も、彼自身もとても魅力的で、惹かれていくディアンの気持ちがとてもよく分かりました。そして、自分から離れていくディアンを、悲しみながらも愛し続ける夫の気持ちも。欠落や謎に惹かれ、愛してしまうのは人間の業でしょう。それぞれの愛の形が美しく切なく描かれている作品だと思います。
★★★★☆ 人間の心を動かすもの
人は様々な事柄に興味を持つが、その方向に突き進むかは本人の資質によって決まる。この映画のように対象に引き寄せられるように躊躇なく行動できたら、どんなに幸せなことかと思う。
★★★☆☆ やや中途半端?
ニコール・キッドマンという女優、昔でいえばイングリット・バーグマンを思い出させる実に正統派の女優だと思います。演技はうまいのですが、育ちのよさが隠せない。これは役によってはとてもよいことなのですが、この映画に関していえば、内に秘めた異常性といったものがまったく感じられなかったため、なにか中途半端な作品になってしまった印象があります。デビット・リンチとか、せめてティム・バートンあたりが監督だったらもっとマニアックでおもしろいものになったかも?
作品の詳細
作品名:毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト |
原作名:Fur: An Imaginary Portrait of Diane Arbus |
監督:スティーヴン・シャインバーグ |
脚本:エリン・クレシダ・ウィルソン |
公開:アメリカ 2006年11月10日 |
上映時間:122分 |
制作国:アメリカ |
製作費:1600万ドル |
興行収入:230万ドル |
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